賃貸ビルのワンフロアにフォトスタジオとしてもギャラリーとしても使用できる、広くて白い空間をローコストで作ってほしい、というシンプルな依頼から始まったプロジェクト。
建築の設計とインテリアの設計の大きな違いの一つは躯体の操作にあると考えている。
インテリアの設計では躯体を変えることはできず、否応なく表層的なデザインとなり、殆どの場合において構造躯体が与える光を只々受け入れることしかできない。
フォトスタジオとギャラリーという、服やアートを主役とした空間を作るにあたって、自然光の操作というただ一点のみに力を注ぐことを考える。
よりシンプルに、より純粋に、白い空間に性質をもたせること。
湾曲した壁を舐める柔らかい光、壁の隙間から漏れるパキッとした光、ざらっと質感で光を和らげる漆喰、影が溜まったようなニッチの暗がり、揺らいで影の表情を落とすカーテン。
インテリアという限定的な要素の中で明暗のグラデーションの中にどれだけ幅を持たせられるか。
光と影の関係性のデザインを試みた。